お湯の温度で変わる冷しゃぶの仕上がり|しっとり柔らかくする温度のコツ
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はじめに
冷しゃぶを作るとき、「お肉をお湯に入れて、色が変わったら取り出すだけ」と思っていませんか?
もちろん、それでも冷しゃぶは作れます。
しかし、実はお湯の温度を少し意識するだけで、仕上がりの食感は大きく変わります。
同じ豚肉を使っていても、グラグラ沸騰したお湯で一気に加熱するのと、少し温度を落としたお湯でゆっくり火を通すのでは、食べたときの「柔らかさ」や「しっとり感」に違いが出ます。
今回は、冷しゃぶのお湯の温度について、できるだけ簡単に紹介します。
沸騰したお湯で茹でると、なぜ硬くなりやすい?

冷しゃぶを作るとき、鍋のお湯をグツグツに沸騰させてから肉を入れる人も多いと思います。
ただ、高温のお湯で薄切り肉を一気に加熱すると、肉のたんぱく質が急激に変化し、肉が縮みやすくなります。
その結果、水分が抜けてしまい、
「なんだかパサパサする」
「思ったより硬い」
という仕上がりになりやすくなります。
特に、脂身の少ない豚ロースやもも肉は、火を入れすぎると硬さを感じやすいので注意したいところです。
目安は「グラグラ沸騰させない」
冷しゃぶをしっとり仕上げる方法として、最近注目されているのが沸騰させない温度帯でゆっくり加熱する方法です。
味の素の調理科学の記事では、沸騰したお湯に差し水をして、約70℃程度まで温度を下げてから豚肉を加熱する方法が紹介されています。
肉のたんぱく質のうち、アクチンは66〜70℃以上で収縮し、水分を逃してパサつきにつながると説明されています。
つまり、
「熱ければ熱いほど早くできておいしい」
というわけではありません。
冷しゃぶの場合は、急激に火を通しすぎないことがポイントです。
お湯の温度が高い場合・低い場合の違い

では、温度によってどのような違いがあるのでしょうか。
【高温】グツグツ沸騰したお湯
一番分かりやすいのが、沸騰したお湯でそのまま茹でる方法です。
短時間で火を通せる反面、肉が急激に縮みやすく、加熱しすぎると硬くなったりパサついたりしやすくなります。
「とにかく早く作りたい」という場合には便利ですが、しっとり感を重視するなら火加減を少し落としたいところです。
【中温】70℃前後
しっとりした冷しゃぶを目指すなら、ひとつの目安になる温度帯です。
お湯を沸騰させたあとに差し水をして温度を落とし、弱火でゆっくり加熱する方法があります。
肉への火の入り方が穏やかになるため、急激な収縮を抑えやすくなります。
「冷しゃぶなのに、なんだか柔らかい」
そんな仕上がりを目指すなら試してみたい方法です。
ただし「低温なら何℃でもOK」ではない
ここで注意したいのが、温度を下げれば下げるほど良いわけではないということです。
豚肉は必ず十分に加熱する必要があります。
厚生労働省は、加熱する食品について「中心部の温度が75℃で1分間以上」を加熱の目安として示しています。また、同等の加熱条件として「70℃で3分間」なども示されています。
そのため、冷しゃぶを柔らかくするために温度を下げる場合でも、肉の中心まで十分に火が通るように加熱することが大前提です。
「ピンク色だから絶対に生」というわけではありませんが、見た目だけで加熱不足を判断するのは避けましょう。
お肉をたくさん入れすぎるのもNG
もう一つ意外と大切なのが、一度に大量のお肉を鍋に入れないことです。
大量のお肉を入れると、お湯の温度が一気に下がります。
すると、
「温度が下がりすぎて火が入りにくい」
ということが起こります。
逆に、少量ずつ加熱すれば、お湯の温度をある程度安定させながら調理できます。
冷しゃぶを作るときは、
お湯をしっかり準備する
↓
火を弱める
↓
肉を入れる
↓
肉をほぐしながら加熱する
↓
十分に火が通ったら取り出す
という流れを意識すると作りやすくなります。
茹で上がった肉を氷水に入れるのは?

冷しゃぶといえば、「茹でた肉を氷水に入れて冷やす」というイメージもあります。
しかし、これも必ずしも必要ではありません。
味の素の調理科学の記事では、茹で上がった肉を冷水に入れず、ザルに上げて常温で冷ます方法が紹介されています。
冷水につけることで肉が水っぽくなったり、脂が固まったりする可能性があるためです。
冷たい冷しゃぶにしたい場合でも、まずは肉をしっかり加熱し、粗熱を取ってから冷蔵庫で冷やす方法もあります。
温度を変えるだけで、冷しゃぶはもっとおいしくなる

冷しゃぶは「薄切り肉を茹でるだけ」のシンプルな料理です。
だからこそ、ちょっとした温度の違いが仕上がりに出ます。
ポイントをまとめると、
・沸騰したお湯で一気に加熱しすぎない
・70℃前後をひとつの目安にする
・一度に大量の肉を入れない
・弱火でゆっくり火を通す
・必ず十分な加熱を行う
・冷水に入れずに粗熱を取る方法も試してみる
ということ。
「冷しゃぶがいつも硬くなる」という人は、肉の種類を変える前に、まずお湯の温度と火加減を見直してみるのがおすすめです。
ほんの少し温度を意識するだけで、いつもの冷しゃぶが「パサパサ」から「しっとり」に変わるかもしれません。
暑い日に食べたくなる冷しゃぶだからこそ、せっかくなら柔らかく、ジューシーに仕上げたいもの。
次に冷しゃぶを作るときは、鍋のお湯をじっと見てみてください。
「グツグツ」ではなく「静かにゆらゆら」。
このくらいの気持ちで火加減を調整するだけでも、仕上がりが変わってきます。

